日本に生活保護者はどれくらいいるのでしょうか?
その詳細と推移、今後の動向について書いていきたいと思います。
日本で生活保護を受けている人数は2017年2月時点で214万人です
日本の人口(1億2670万人)の約1.7%。約100人に2人が生活保護を受けていることになります。
おおよそ名古屋市(229万人)の人口に匹敵します。
■目次
日本の生活保護者数は214万人(2017年)
(※以下グラフは厚生労働省HPより)
生活保護者はリーマンショック以降急増しましたが、近年ほぼ横ばいで推移しています。
また生活保護者は日本人だけではありません。永住者や定住者(日本人の配偶者等)などの在留資格を持っている外国人にも適用される制度です。
生活保護の世帯数、推移と内訳
生活保護は個人ではなく世帯単位として行われています。
「個人」で生活できなくても「世帯」で生活できるのであれば生活保護の対象にはなりません。
「世帯全体」として生活するのが困難である場合にこの生活保護を受けることができる制度なのです。
※また同居していなくても両親、子、兄弟姉妹、または親戚等から支援を受けれる場合も生活保護の対象にはなりません。
高齢者世帯:男女とも65歳以上
母子世帯:65歳未満の女性と18歳未満の子
障害者世帯:世帯主が障害で働けない世帯
その他:上記以外の世帯
年々高齢者世帯の数も割合も増えています。
またこの数年で「その他の世帯」も急増しています。このことから65歳未満でも生活保護を受けている人が多くなっていることがわかります。
都道府県・都市別の生活保護率
都道府県、都市別の生活保護率を表した図です。
指定都市別では「大阪市」が突出して1位になっています。
5.34%という数字は19人に1人は生活保護受給者ということです。
なぜ大阪市にこれだけ生活保護受給者が多いかというと、あいりん地区というドヤ街があることが考えられます。東京でも山谷地区が有名です。
ドヤ街とは日雇い労働者が多い(多かった)場所です。他にも保護率の高い北海道や福岡なども旧炭鉱都市で日雇い労働者が大勢働いていました。
日本におけるセーフティネット
日本にはセーフティネットはいくつかあります。
生活保護もセーフティネットのひとつです。
セーフティネットとは、「最悪の事態から保護する仕組み」のことを言います。
もともとは「サーカスの綱渡りなどの転落から安全を確保するための網」のことでした。
それが今では一般的に使われる用語になっています。
日本における最悪の事態というのは、お金がなくなり生活できなくなることでしょう。
失業であったり怪我や病気になったりと様々です。
生活保護制度とは、生活に困窮する方に対し「健康で文化的な最低限の生活を保障し、その自立を助長する」制度です。
生活保護の今後の展望
今日本は好景気と言われています。失業率も低く、求人倍率も高い。これは世界的に見ても同じです。
仕事を選ばなければ仕事に就くことはそれほど難しくないと言われています。
このまま好景気が続いても、日本の高齢化が進むうちは生活保護世帯は「横ばいか、やや増加」していくでしょう。
ですが残念ながら好景気は長くは続きません。いつかは悪くなるときがきます。景気はこれの繰り返しです。
2019年10月からは消費税が10%に上がります。そして2020年東京オリンピックが終わります。
この時点で景気が悪くなれば生活保護者は一気に増えることが予想されます。
景気が悪くなれば物が売れない。物が作れないと失業者が増える
高齢化と相まって生活保護者はさらに増え続けて歯止めがかからなくなるでしょう。
年金問題もあります。以前は60歳になれば年金を受け取ることができました。それが今では段階的に引き上げられ65歳からでないと受け取ることはできません。高齢化と財源不足が原因です。
現在は以前にも増して財源が逼迫しています。10年後には「70歳にならないと年金が受け取れない」ともなりかねません。そうなれば年金受給までに貯蓄が尽きる世帯も増えるでしょう。
高齢者人口が増えるピークは2040年あたりと言われています。
生活保護者が更に増え続ける場合には、減額はおろか集団での暮らしを強要される可能性もあります。