遺族年金は、国民年金または厚生年金の加入者または加入していたものが亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた妻や子が受け取れる年金です。
遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、亡くなられた方の年金の納付状況などによって、いずれかまたは両方の年金を受け取ることができます。
遺族基礎年金を受けることができるのは「子」がいる場合のみです。
「子」がいなければ遺族基礎年金を受け取ることはできません。
また支給要件もあります。ある一定の期間、国民年金または厚生年金を納めている必要があります。
死亡していたものが保険料を納めていたかどうかであって、受ける側の要件ではありません。
■目次
遺族基礎年金
支給要件
被保険者または老齢基礎年金の受給資格者が25年以上ある者が死亡したとき。(ただし死亡した者について、保険料納付済期間(免除期間も含む)が加入期間の3分の2以上あること)
※ただし特例で、平成38年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば死亡日の属する前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
厚生年金に加入していた場合は、この遺族基礎年金と遺族厚生年金の支給を受けることができます。
遺族基礎年金の対象者
生計を維持されていた、子供のいる配偶者、また子
※子とは、18歳になった年度の末日(3月31)まで
※子が障害等級1級または2級の場合は20歳まで
子どもがいない場合は遺族基礎年金は受け取ることができません。そこ”子”とは、18歳までの子です。
年金額(平成29年4月)
年金額:779,300円+子の加算
・第1子と第2子:224,300円
・第3子以降:各74,800円
(例)妻と15歳、12歳の2人の子がいた場合
年金額:779,300円+224,300円×2=1,227,900円
※子が遺族基礎年金を受け取る場合の加算は第2子以降について行い、子1人あたりの年金額は、上記による年金額を子どもの数で割った額
遺族厚生年金
支給要件
以下のいずれかの要件に該当する方
- 被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したとき(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること
- 老齢厚生年金の受給期間が25年以上ある者が死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金をうけられる者が死亡したとき
※ただし特例で、平成38年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば死亡日の属する前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。
遺族厚生年金の対象者
死亡した者によって生計を維持していた
- 妻
- 子、孫
- 55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる)
※30歳未満のこのない妻は5年間のみの給付
※子とは、18歳のなった年度の末日(3月31日)まで、障害等級1級、2級の場合20歳まで
※子のある配偶者、子は遺族基礎年金も併せて受けられます。
年金額
遺族厚生年金の額=式1によって算出された額となります。
なお式2の式によって算出された額を下回る場合は式2が年金額になります。
※支給要件の1及び3に基づく遺族厚生年金では、被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなしで計算します。
※支給要件の2に基づく遺族厚生年金の場合、計算式の1000分の7.125及び1000分の5.481については、死亡した方の生年月日に応じて経過措置があります。
中高齢の加算について
子がいる場合は、遺族基礎年金と子の加算、さらに遺族厚生年金を受け取れます。
しかし子が18歳を超えた場合などは、遺族厚生年金しか受け取れなくなります。遺族基礎年金と子の加算で100万程年金を失うわけです。
その格差を補うためのあるのが中高齢加算になります。
◆対象者
40歳到達した時点で、遺族基礎年金を受けている妻が対象。
◆支給期間
40歳~65歳まで(65歳以降は老齢基礎年金が出るためです)
◆支給金額
584,500円(年額)が加算されます。
経過的寡婦加算について
上記「中高齢の加算」は65歳になるまでの間の支給でした。その後はそれに代わる老齢基礎年金が支給されるためです。
しかし以下のいずれかに該当する場合に遺族厚生年金に加算されます。
・昭和31年4月1日以前に生まれの妻に65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき
・中高齢の加算がされていた昭和31年4月1日以前生まれの遺族厚生年金の受給権者である昭和31年4月1日以前生まれての妻が65歳に達した時
経過的寡婦加算は、中高齢の加算が終わり老齢基礎年金が支給されてもある程度の水準を確保するためのものです。
国民年金の未払いなどで年金額が少なくなるのは自己責任ですが、途中で新法に変わったり、年齢によって不利な場合などの格差を埋めるための制度です。