パートでの収入が年130万を超えると、社会保険に加入する必要があり、夫の扶養に入れなくなります。
その場合、自分で健康保険や厚生年金に加入して保険料を納めることになります。
少しの給与の違いによって、家計への負担になってしまいます。ここではよく言われている社会保険加入の要件である106万の壁や130万円の壁について説明していきます。
ただし若干のメリットもありますのでこちも説明していきます。
■目次
社会保険における103万円の壁、106万円の壁とは
103万円の壁というのが、以前よく使われていました。
具体的には妻のパート収入が103万円を超えると、その収入に対して所得税がかかるようになり、同時に夫が38万円の配偶者控除を受けられなくなることを「103万円の壁」と言いました。今は配偶者控除、配偶者特別控除の見直しで150万円に拡大されています。
今回社会保険への加入については106万円の壁と130万円の壁が存在します。
下記は妻の収入による税金等の一覧表です。
社会保険加入の条件は収入が130万円以上は加入が必須です。そして106万円以上は条件つきで加入が必要になります。
社会保険とは
社会保険とは健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の4つの総称を言います。
※介護保険は健康保険に含まれます。
社会保険料を支払う目的は「相互扶助」のためです。
病気や怪我、介護、失業、労働災害、老後の生活等、一人で背負うのではなく日本に住んでいる人全員で支え合う制度です。
ですが、今日本ではこの社会保障関係費が増え続けています。原因は少子高齢化です。社会保険料では到底補えず、税金や借金に頼っています。この額はこれから増える一方です。
出典:財務省
少しでも収入を増やすため今後はより社会保険料を増やしていかなければなりません。より社会保険加入要件を緩和して多くの人に社会保険料を支払ってほしいという政府の思惑があります。
今回説明する130万円→106万円への変更。今後は更に加入条件が緩和していくでしょう。
社会保険加入条件(106万と130万)
106万と130万との違いは勤務している事業所規模によります。
2022年10月より社会保険料の要件が変更され、事業所の被保険者数の総数が101人以上の場合は社会保険料の加入が必要になります。
また勤務期間についても「1年以上」から「継続して2ヶ月を超えて」に変更されました。
要件の表は以下になり、2024年以降にも改正を予定しています。
106万円の壁・130万円の壁を超えるといくら払う?
社会保険に加入した場合、一体いくら支払う必要があるのかが気になるところです。
以下実際に支払い例をあげていきます。
※社会保険である健康保険料と厚生年金保険料は会社と個人で折半して支払います。
※40歳から介護保険料の支払いが必要となり健康保険料を合わせて支払います。
いずれも東京都の例です。
事業所の規模、勤務期間等社会保険加入の条件には満たしている場合
給与が月9万円の場合の社会保険料。(103万超え)
健康保険料金(介護保険込)で個人負担が5,038円
厚生年金保険料 個人負担で 8,052円
合計で13,090円
月額9万円の給与の場合、月の社会保険料は13,090円になります。
これは給与の14.5%。かなり重い負担になります。
給与が月11万円の場合の社会保険料。(130万円超え)
健康保険料(介護保険込)で個人負担が6,297円
厚生年金保険料 個人負担で 10,065円
合計で16,362円(給与割合14.9%)
ちなみに給与が20万円の場合の社会保険料
健康保険料(介護保険込)で個人負担が11,450円
厚生年金保険料 個人負担で18,300円円
合計で29,750円(給与割合14.9%)
※健康保険料は最大で79,577(個人負担)
※厚生年金保険料は最大で59,475(個人負担)
社会保険加入のメリット
社会保険に加入すると社会保険料を毎月払わなければなりません。およそ給与の15%です。
ですが、以下のメリットもあります。
厚生年金が受け取れる
扶養になっている場合、加入している年金は「国民年金」です。
社会保険に加入すると「厚生年金」に加入することになります。厚生年金は2階建ての仕組みになるため、1階部分の国民年金はもちろん2階部分である厚生年金を年金受給の際に受け取ることができます。
障害厚生年金が受け取れる
万が一、病気や怪我によって障害の状態になった場合、受け取れるのが障害厚生年金です。
1級、2級の場合、障害基礎年金(国民年金加入の方)にプラスして障害厚生年金を受け取ることができます。
また障害等級が3級の場合、厚生年金に加入している場合は障害厚生年金を受け取ることができます。